遺産分割は主に3種類あります。協議分割はその中の一つです。通常、遺言者が遺言を残していない場合、または遺言により分割方法を指定してない場合に、相続人全員が合意する方法で遺産を分割します。仮に、合意をなかなか達成できない場合は、審判分割という分割方法も存在します。つまり、裁判所の力を借りて、被相続人の遺産を分割します。
そのため、トラブルを避けるために、一番確認すべきなのは、遺言書の存否です。仮に、遺言書が存在すれば、遺産分割の方法は遺言書に書かれている可能性が高いです。たとえば、遺言書に「私が死亡した後に、私の不動産甲はAに相続させる。私の貯金をBに相続させる」と書かれているなら、遺産は被相続人の意思でAとBに分割します。被相続人は遺留分を侵害しない範囲で、自分の財産を自由に処分することが可能です。AとBもこれについて納得できるでしょう。
仮に、遺言書が存在しない場合は、AとBは原則として合意で遺産を分割します。これは遺産分割自由の原則です。分割の方法については、現物分割、換価分割、代償分割があります。
今後のトラブルにならないように、まず被相続人が残した財産の内容を知ったほうがいいです。積極財産であるか、消極遺産であるかなどについて知るのは非常に重要です。また、具体的な金額も知る必要があります。金額だけでなく、遺産の性質も知る必要があります。具体的に言うと、財産は性質により、遺産分割対象にならない可能性があります。たとえば、可分債権は遺産分割の対象になりません。可分債務と連帯債務も遺産分割の対象になりません。逆に、不可分債権と債務は通常遺産分割の対象になります。
つまり、遺産を分割するために、被相続人が残した遺産の全部を知らなければなりません。
遺産だけでなく、他の法定相続人との意思連絡も必要です。つまり、他の法定相続人の行方や連絡方法を知る必要があります。相続人の中で行方不明者がいる場合、民法25条1項により、財産管理人の選任が必要です。選定された財産管理人は協議に参加するあたり、家裁の許可が必要です(民法28条)。その理由としては、遺産分割という行為は財産処分行為にあたって、不在者の財産管理人の法定権限を超えるからです。
合意が達成した後に、遺産分割協議書の作成が非常に重要です。遺産分割協議書は合意が達成した証拠として、今後の争いを防ぐことが可能です。しかし、遺産分割協議書については、一定の書き方に従ったほうがいいです。書き方が乱れると、内容が不明瞭になる恐れがあり、不明瞭な内容は紛争の種になりやすいです。たとえば、署名をし忘れた方が遺産分割協議書の効力を疑うとか、株を扱う会社の不記載による所有者の不明などです。
遺産分割は被相続人の家族構成、遺産の金額と性質によってややこしくなるケースも少なくありません。相続問題についてよく知っている専門家の力を借りることができるなら、トラブルを一定程度に抑えることができるはずです。司法書士みちのく事務所は、所沢市にお住まいの皆様から、ご相談を承っております。遺産分割協議でお悩みの際には、是非ご相談ください。
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