遺言書と遺留分はどちらが優先される?/司法書士みちのく事務所(埼玉県所沢市/狭山市、入間市、東村山市、清瀬市)

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遺言書と遺留分はどちらが優先される?

遺言書と遺留分のどちらが優先されるかについて、ご説明する前に、遺留分という概念についてみていきます。

遺留分という制度は、相続人を保護するために、作られた制度です。簡単にいえば、民法の私的自治の原則と所有権絶対の原則にしたがい、被相続人は、自分の意思で自分の財産を処理することが可能です。つまり、被相続人Aは自分の財産をすべてBにあげたいと考え、自分の財産をすべてBにあげることが可能です。しかし、財産を有している被相続人Aに、ずっとAに頼っていて、生活している相続人がいたとします。たとえば、Aの未成年の子Cです。仮に、Aは自分の財産をすべて他人にあげるという遺言を作ることが可能であれば、Aの未成年の子Cはこれからの生活の頼りを失うでしょう。CはAと血縁関係を持っているので、本来AはCを扶養する義務を有します(民法877条)。そのため、仮にAが財産を残した場合に、CがAの財産の一部さえ相続できないのは不公平です。Cが相続できないと、Cは昔通りの生活を維持できず、不利益が生じます。

民法はこのようなCを保護するため、遺留分制度を作りました。Cを保護するために、遺言書より、遺留分制度を優先させなければなりません。仮に遺留分制度が遺言制度に優先されないとすると、結局Aは自由に自分の財産の全部を処分できて、CはAの財産を相続できなくなります。

そのため、仮にAが遺言書に「自分が死亡した後に、自分の財産を全部Bに相続させる」と書いたとしても、Bは遺留分制度の影響を受けて、Aの全遺産を相続できないことになります。Aの未成年の子Cがまだ生きているからです。

民法1042条1項2号により、Cは遺留分制度にしたがって、Aの一部の財産を相続することが可能です。Cが相続できる部分は遺留分と呼ばれ、BはAの指定相続人として、Aの財産の一部を相続することが可能です。Bが相続できる部分は自由分と呼ばれています。

つまり、Aの遺言書は自分の遺産の自由分の範囲内で有効です。Aは遺留分まで自分の財産を他人に相続させることはできません。民法上、遺留分は遺言書より優先されているからです。

遺留分の計算方法、算定範囲は比較的ややこしいものです。遺留分について悩んでいる方は、専門家との相談をお勧めます。司法書士みちのく事務所は、所沢市にお住まいの皆様から、ご相談を承っております。遺留分でお悩みの際には、是非ご相談ください。

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