遺言書を作成した場合、その遺言書の保管方法には万全の注意を払う必要があります。紛失した場合には効力が無くなることは当然ですが、第三者に盗まれたり、偽造されたりする危険があるからです。
遺言書には大きく分けて自分の手で作成した「自筆証書遺言」と、公証人に依頼して作成する「公正証書遺言」や「秘密証書遺言」があります。特に「自筆証書遺言」の場合には、保管場所に注意しないと様々なトラブルが起こる恐れがあります。以前は、自筆証書遺言の保管場所について制度が整っていなかったため、トラブルを避けるためには、司法書士などに保管を依頼することが最善とされていました。しかし、平成30年民法改正に際して、法務局に遺言書を保管することができるようになりました。法務局に保管した場合、遺言者はいつでも遺言の返還・変更・閲覧をすることができますが、遺言者以外の者が遺言書の原本の交付を求めることはできません。こうして、自筆証書遺言の偽造・変造・紛失等のリスクを減らすことができます。
また、「公正証書遺言」や「秘密証書遺言」の場合は、自動的に公証役場に保管されます。公証役場も法務局同様に、多くの職員がいるほか、厳重な管理を行うため偽造や破棄のリスクは殆どありません。このように遺言書の保管方法には大きく分けて二種類の方法があります。どちらを選ぶかはそれぞれの状況や意思により様々ですが、安全性と執行の際に困らないようにすることを念頭に置いて考えることが大切です。
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