相続人が受け取ることのできる最低限の財産を遺留分といいます。
これは民法によって保証されている権利です。故人の遺言書は生前の意思として尊重すべきものです。しかし、全ての財産を一人だけに譲るといったような極端に偏った内容で不均衡である場合には、最低限の権利として遺留分が確保されます。この権利が保証される相続人には、配偶者、子供、父母までが含まれますが、兄弟は含まれていません。
現実に遺留分を侵害されたときには、相続が開始して自分の権利が侵害されていることを知った日から1年以内に、受贈者や受遺者に対して、遺留分侵害額請求をすることが必要です。この侵害額請求を行わないまま1年が過ぎてしまうと時効で権利がなくなってしまいます。以前は、遺留分減殺請求権として、遺贈や贈与の効力を否定することによって減殺の目的物を取り戻すことが可能でした。
しかし、目的物の一部が無効になる場合には、法律関係が複雑になるなど、さまざまな問題が生じてしまいました。そこで、平成30年民法改正によって、金銭の請求ができるのみに変更になりました。請求できる額は、配偶者や子供が含まれる場合は相続額の2分の1で、父母だけの場合は相続額の3分の1と定められています。反対に遺留分を放棄することもできます。もっとも、遺留分を放棄したとしても、相続を放棄することにはなりません。遺留分を放棄する場合は、本人の自由意思によるものかどうかを家庭裁判所が判断することになります。
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